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No.321
2013/08/11 (Sun) 22:54:01



 ザ・ビッグ・エンデバー


僕がロサンゼルスに行く半年ほど前、退役予定だったスペースシャトルのオービタ「エンデバー」がダウンタウンにあるカリフォルニア科学センターで展示されると言う話を耳にした。展示開始は10月末から、実は当初の出発予定は9月だった。僕はどうしてもこの機会に見に行きたいと予定を再調整していたのだが、結果として仕事のプロジェクトが延びた事や、Van Halenライブの延期などが重なり11月出発に変更することが出来た。そんな2012年11月19日、つまりは一般公開から3週間も満たない展示したての機体に幸運にも会うことが出来る。


カリフォルニア科学センターの様子も紹介したいのでエンデバーはもう少し後だ。どうしてもすぐに見たい場合はこちら

だがその前に一件寄りたい場所がある。アメリカでの生活にもたいぶ慣れてきたことだし、ついにレンタカーを借りるのだ。
ホテルからバスとメトロレールを乗り継ぎLAXへ、そこからレンタカー会社別の専用バスで向かう。今回借りたのは格安海外レンタカー会社の一つ、ダラーレンタカーだ。


LAX周辺には多くのレンタカー会社の店舗が点在していて、それぞれだだっ広い駐車場に何台もの車輌を並べている。

予約は日本から入れていたのだが、店舗で確認をしてみるとオプションの保険とGPSで予想以上に値が張った請求書が出てきた。
確か予約時に保険加入パックと書いてあったはずだが、店員としばらく話し込んでいたが結局分からず、初めての地と言うこともあり初期に提示されたプランで妥協することにした。
どうも仲介予約サイトとの連携が悪かったらしく僕自身も事前に保険内容を再確認しておかなかったことを後悔した。結局結構な金額になってしまった、これなら案外Hartzでも変わらなかったかもしれない。

まぁいい。気を取り直して書類を受け取る。どうやら店舗横の倉庫内にキーが付いたまま並べられている車を指定ランク内から好きに選べるようだ。
黒のクライスラーにするか迷ったが予約時に指定していたのと同じダッヂ・アヴェンジャーにした。予想よりもしっかりした内装をしている、いい車だ。

 
左:倉庫内にも車両がズラリと並んでいる。ランク分けされているのでその中から好きな物を選び乗って出るわけだ。
右:クライスラーかダッヂかを悩んでいる様子。そういえば何故か自分の中ではDODGEの表記がダッジではなくダッヂだ。

さぁいよいよ公道に出よう。
ご存知のようにアメリカは左ハンドル右側通行と日本とは真逆なわけだが、思っていたよりも普通に走ることが出来た。
そうは言っても複数車線道路から出た時や右左折時はうっかり対向車線に入ってしまいそうになるので常に「右ー右ー。」と口に出しながら走っていた。

 
左:GPSとはカーナビのこと。おもりで置くだけのまぁ安物だ。親切にも日本語音声にしてくれたのでそのまま使うことにした。
右:このゲートで手続きを済ませればいよいよ公道だ。逆流禁止の車止めが見えるので途中でのバックは絶対にNG、タイヤがバーストしてしまう。何もパンクさせる必要はないだろうと思うがこれがアメリカ式なのだ。


いざ公道へ。これが左ハンドル右側通行だ。
Dollar Rent A Car
5630 Arbor Vitae St, Los Angeles, CA 90045
http://www.dollar.com/









2012年9月、ロサンゼルス上空に二機のF/A-18にエスコートされたB747が現れ、ハリウッドサインをかすめ飛びながらLAXへと降り立った。
このNASAの名を掲げたB747に背負われていたのが退役したオービタ、そう、あのエンデバーだった。
フロリダ州のケネディ宇宙センターから大陸を横断し、カリフォルニア州エドワード空軍基地などを経由した後、サクラメントやサンフランシスコといった都市をローパスで飛行し、ロサンゼルスへ。悪天候のため予定より2日ずれ込んだラストフライトであった。また、このエンデバーが製造されたのはカリフォルニア州のパームデール、退役後に生まれ故郷へ帰ってきたことになる。

カリフォルニアの大地を再び踏んだスペースシャトル、エンデバーがその地上を、建造物をギリギリで交わしながら時速2マイルと言う驚くほどゆっくりとしたペースでカリフォルニア科学センターへと向かって行く姿はネットを中心に多くのメディアで取り沙汰された。その迫力ある映像に誰もが釘付けになり、固唾を飲んで見守ったことだろう。

そんなカリフォルニア科学センターへ借りたばかりのレンタカーで向かっている。
サウス・フィギュエロア・ストリートを南下していくと右手にDC-8が見えてきた。とりあえずそこのロータリーに入り地下駐車場入口まで車を寄せたのだがゲートが開かずインターホンを押しても返答が無かった。やはり一般入口ではなかったようだ。
少し先にあった一般入り口から入り直し、駐車場の端に車を止めた。今回は車で来たがもちろんメトロを利用して来ることも出来る。

以前あれはハセガワ製だったかイタレリ製だったかのSR-71を作ったがあっさりしたモールドとマットブラックでの塗装、シンプルなパーツ構成であまり楽しくなかった記憶がある、が好きな機体だ。

本館へ向かう途中、あの怪鳥SR-71ブラックバードの原型、A-12が出迎えてくれる。これは十数機作られたA-12の中の唯一の複座型練習機だ。この特徴的なフォルムはステルス性を高め、高高度、超高速飛行での偵察任務を目的とするために設計されたものだが、60年代にこれだけ斬新なデザインの機体が作られたと言うことに改めて驚きを感じる。
雨ざらしだがカリフォルニアの天候のためか保存状態は良い。それにしてもこっちの博物館はジオラマ等で当時を再現したものが多く、この機体にしても現役だった頃の躍動感を思わせる飛行姿勢での展示など流石に上手い。
そろそろ中に入ろう。

 
左:センターの壁面には大きくエンデバーが張り出されている。
右:中へ入る。空中にはF-20(左側)とT-38(右側)、インパクトがある。

ゲートを潜るといきなり空中にF-20とT-38が展示してあるのが目に入る。前者は試作機のみ、後者は訓練機、なるほど分かってきた。ここカリフォルニア科学センターは教育を目的とした機関、先ほどのA-12が訓練機だったのもそうだが、航空機として展示しているわけで決して兵器である戦闘機として置いているのではないのだろう。そこに何か誇りのような物を感じた。

そう、ここカリフォルニア科学センターは教育に重きを置いた場所で、なんと入場料は無料なのだ。平日ではあったが中は子供連れの家族客で賑わっていた。こういった手軽に科学と触れ合える施設があるのは本当に素晴らしいことだと思う。しかも展示品の多くには体験コーナーがあり、実際に触って原理や仕組みを理解することができる。教育機関としても本当に良い場所だ。

正面のエスカレーターを登ると見えてきた、エンデバーの看板だ。やはり結構な行列が出来ている。
まずはエンデバーを見ようと列に並んだのだが、どうも前の家族がチケットがどうこう話をしている。もしかすると整理券が必要なのかとそのカウボーイ風お父さんに聞いてみたところ、どうやら入口横の窓口でチケットを買ってこないといけないらしい。なんとも丁寧に教えてくれた良いお父さんだった。
チケットはIMAXとのセットもあったが時間の都合上エンデバーだけのものを購入、しかもたった2ドルなのだから驚きだ。


入場の整理番号までまだ時間があったので先に館内を見て周ろう。


T-38とF-20の後ろ姿、これも飛行姿勢での展示だ。

 
1960年代ジョン・F・ケネディー大統領の元で本格的に始動したアポロ計画、まさに冷戦下でのソビエト連邦との開発競争真っ只中であった。時は流れ1975年、アポロ・ソユーズテスト計画、これはそのミッションで実際に使用された司令船だ。この二国の宇宙船のドッキングはつまり宇宙開発競争の終わりを意味し、またアポロによる最後の有人宇宙飛行でもあった。

 
左:1976年火星に着陸したバイキング・ランダーのフルスケールプロトタイプだ。
右:これはISSの実験モジュール的なものだろうか、解説を読み忘れていた。

 
左:中央にはあのMercury-Redstone 2 Space Capsule、1961年チンパンジーのHamを乗せて打ち上げられた。奥にはシミュレーターなどがあり賑わっている。
右:Gemini 11、後の月飛行計画への技術開発として1966年に打ち上げられた。

同じくGemini 11。このヒートシールドが再突入中の宇宙飛行士を守った。表面温度は1900℃にもなりその放射状の模様が壮絶さを物語っている。

 
左:これは1969年アポロ11号によって持ち帰られた月の石の一部だ。
右:メキシコで発見された炭素質コンドライトの石質隕石だ。暗く、すすけた、炭素が豊富な小惑星から来たらしい。

 
左:(昆虫画像)ここには航空機や宇宙関係の物だけではなく、あらゆる生物に関する展示、人体に関する展示なども豊富にある。
右:(昆虫画像)こいつらはHissing Cockroach、マダガスカルゴキブリと呼ばれるペットなんかにもされる大型のゴキブリだ。ゆっくり動いていてよく見るとなかなか愛嬌がある。隣にいた女の子と見入るようにじっと観察していたがこれは飽きない。


エコシステムゾーンでは様々な自然環境を体験できる。ここはその中の一つケルプフォレストだ。

 
左:吹き抜けの水槽が広がり、本物の陽が差し込む自然の環境が再現されている。
右:水槽外、左奥の白い装置が上下することによって波を発生させている。




「STSってのはこんなので、Endeavourはこんな機体でこんな偉業を成し遂げていて日本人も初めて乗ったよblah blah blah、彼女の旅はカリフォルニアのここから始まるよ!」みたいな感じのイントロダクション。

そろそろ入場開始の時間だ。先ほどのエントランスへと向かい、特設会場へ入った。
まず最初に見えてきたのが実物サイズのタイヤや管制室、宇宙空間で使われるトイレの浄水器やクルーが持参した私物の例、そしてエンデバーの歴史とカリフォルニア科学センターへとやってくるまでの軌跡が語られていた。

 
左:一般的な航空機よりも重く着陸も特殊なオービタを支えるのはこの強靭なタイヤだ。オービタの着陸時のタイヤへの負荷はジャンボジェットとして知られるB747の3~4倍だと言われている。これはエンデバー最終任務STS-134で実際に使われたもの、ご覧のように実際にタイヤに触れてみることが出来る。
右:「初の教師搭乗として学生たちに見守られる中で起きたチャレンジャーの事故。次のシャトル発射までの32ヶ月もの間NASAは数百もの変更をシャトルとソフトウェアに施し、安全性を高めた。」という感じのフリップとこれは設計図か。

 
左:Made in California、1987年からOV-105がカリフォルニアのパームデールで作られる様子と、1991年にケネディー宇宙センターへと運ばれる工程の解説。と7万人の子供から選ばれた"Endeavour"の名付け親の少女へ、パパブッシュから表彰状が送られる様子。
右:Fuel Cells、水素と酸素を化学反応させ電気を作る燃料電池だ。これが3機搭載されている。また化学反応で電気と共に生成される水は飲料水として再利用される。

 
左:Rocketdyne Operations Support Center (ROSC)、管制室のように見えるがどうやらこれはシャトルのメインエンジンを作っているRocketdyneの物のようだ。つまりはエンジン部分の監視だろうか。当時はプラット&ホイットニーと同じカリフォルニアのCanoga Parkにあり、全ての打ち上げをそこから監視していたらしい。今回それがここへ移されたと書かれている資料もあったので本物かもしれない。
右:NASAの宇宙飛行士Garrett Reismanが宇宙へ持っていった私物。右中央の缶はISSでロシアから供給された宇宙食らしい、ギャレットはPike Perch Pilafが好物だったと書かれている。Yum!

さらに進む。
順路通りに進んで行くと途中、プラスチックのコイン型トークンを渡される。これは次のゲートをくぐる時のチケット代りとなるようだ。

ついにエンデバーとのご対面かと意気揚々と進むがまた別の部屋が現れ、そこでエンデバーを運ぶミッションのショートフィルム「Mission 26: The Big Endeavour」を鑑賞する。
焦れったいくらいに前振りが長いがその分期待値がどんどん上がって行く。楽しみだ。

これもまた見事なショートフィルムだ、拍手を送り次に進む。黒のコイントークンを渡し、代わりに紫のトークンを受け取る。どうやら一度外へ出てそこから展示室へと向かうらしい。屋外の大きな格納庫がガラス越しに見えてきた。エンデバーはあの中にある。



こいつが「空飛ぶレンガ」だ。おっと、今回はボルボ240の話じゃぁないぜ。

カリフォルニアの晴天の中からでは、小さい扉から覗く薄暗い室内はよく見えない。期待に胸高鳴らせながら列に並び、ゆっくりと格納庫の扉をくぐった。

扉のサイズからは想像もつかないほど大きく広がる格納庫の中心に、それ以上の存在感を漂わせてスペースシャトル エンデバーが展示してあった。
その機体は予想していたよりも大きく、地球と宇宙を往復した歴戦の証と共に、誰もが一度は夢見た宇宙飛行士になりたいという幼き日のあの頃を思い出させ、無意識に感嘆の声をもらしていた。恐らく皆同じ気持ちを感じていたのだろう、誰よりもはしゃいでいたのはお父さん達だった。
僕の後ろにいた父に肩車をされた少年が入った瞬間思わず"Huge!"と叫んだ。しかしこれだけ大きな機体でも宇宙に出てしまえば光る「点」の一つでしかないのだ。


ノーズ部分、なんだか犬の鼻のようだ。


RCSスラスタ、ここからプシュっとやって姿勢制御を行う。

 

ちなみに現在の展示方法は仮のもので、最終的には縦置きの発射スタイルで展示されるらしい。
その周りをぐるりと回れたり、この状態では難しい上面や、コックピットの近くを見学することも出来そうだ。完成は2017年を予定しているらしいがこれは楽しみだ。縦置きを間近で見学出来る迫力は凄まじいに違いない。
逆に、エンデバーの土手っ腹に潜り込むことが出来るのは恐らく今の展示の時だけだろう。耐熱タイルの様子を詳細に見たい人は変わってしまう前に一度見に行くべきだ。その価値は十分にある。


隙間なく表面を覆う耐熱タイル、この一つ一つに別のIDが印字されている。つまり全て場所が決まっているのだ。

 
大気圏再突入時、機体表面は1600℃以上にもなる、その過酷な状況で機体を守るのがこの耐熱タイルだ。LI-900と言う素材で作られた耐熱タイルは真っ赤になるまで熱せられても素手で持つことが出来るほど熱が伝わらない。
僕はこれまであの悲惨なコロンビアの事故はこの耐熱タイルの剥離が原因だと思っていたのだが、実際は主翼前面の強化カーボン耐熱パネルに、外部燃料タンクから落下した断熱材が直撃し破損したことが原因だとされていた。どちらにしても打ち上げ後に異変に気付いた職員もいたらしく、そこで未然に事故を防げなかったNASAの管理体制の甘さも悔やまれる。


Space Shuttle Main Engine (SSME)


 
これがロケットダイン社製のメイン・エンジン、SSMEだ。3機搭載されている。小さい方は軌道制御システムだ。液体水素と液体酸素を燃焼させることで莫大な推力を得ることが出来る。
拡大すると分かりやすいがやはりエンジン周りは損傷が激しい、その細かな傷が宇宙からの帰還を物語っている。


 
これがそのSSMEの全貌だ。近くで見るとその巨大さと対照的な緻密さに驚かされる。このSSME3機から放たれるエネルギーはフーバーダム13個分の出力に匹敵するらしい、がスケールが大きすぎてさっぱり想像出来ない。


Mission 26: The Big Endeavour、そうこれこそがエンデバーの最終ミッションなのだ。


オービタとは軌道船部分であるこの機体のこと、スペースシャトルとは厳密にはオービタに補助ブースターと燃料タンクが合体した状態、もしくはこのプロジェクト自体のことを言う。エンデバーのOV-105というのはOrbiter Vehicleの略だ。
このオービタはこれまで実験機のエンタープライズ含め6機だけが実機として製造されたわけだが、エンデバーが製造されたのは1986年のあのチャレンジャー爆発事故により損失した機体の補充のためだった。1992年の初ミッションから2011年の引退まで25回のフライトでNASAを支えた最も若い機体だったわけだ。

そんなスペースシャトル計画も2011年のアトランティスでのミッションを最後に終了してしまった。
それこそ僕らのように80年代後期生まれにとっては物心ついた頃から宇宙への旅と言えばシャトルによるものであったわけだが、1981年の初飛行の時はきっと当時の子供達は、従来のロケットによる手段ではなく乗り物として帰還出来る新しい時代の到来に目を輝かせたことだろう。もしかすると30年先の未来に手軽な宇宙旅行の姿をイメージしていたかもしれない。そして僕達もまたこの方法がこれからもスタンダードだと疑ってやまなかった。
だが現実は違った。2003年のコロンビア空中分解事故、それに伴う安全対策の見直しでただでさえ試算以上のコストがかかっていた計画は脆くも崩れ去ってしまった。皮肉なことに当初使い回しが効き、使い捨てよりも安いと考えられていたシャトルは結果として使い回しの安全対策を強化していくことで莫大な費用を必要としてしまった。250万個もの膨大なパーツにより構成され、「人類史上最も複雑な機械」と言われる機体の使い回しは安易な事ではなかったのだろう。

しかしながら宇宙への挑戦が終わったわけではない。
スペースシャトル無き今はロシアのソユーズだけが頼りだが、今後は民間が本格的に参入してくることだろう。それで競争率が上がり発展していくかもしれない。もちろん安全性を軽視しない程度にだが。
何はともあれ、このスペースシャトルという有人宇宙飛行の計画自体が与えてくれた夢みたいなものは果てしなく大きく、少年時代に宇宙へ関心をもつきっかけとなったことは間違いない。これからはこのカリフォルニアの地で教育教材として貢献し続けていくことだろう。

宇宙は広大だ。


宇宙は広大だ。
California Science Center
700 Exposition Park Dr, Los Angeles, CA 90037
http://www.californiasciencecenter.org/
(入館無料、エンデバーは2ドル チケットの事前購入が必要)





 こぼれ話
僕は昆虫と宇宙と恐竜と模型が大好きな少年だった。とりわけ宇宙には漠然とした大きな期待を持ち天体望遠鏡を覗いてはわくわくしていた。当時住んでいた場所は関西の片田舎でそれこそ街灯も少なく天体観測にはもってこいだった。
そんなある日、小学校であれは確か1998年、後の「きぼう」となるISSの日本実験モジュールの愛称を公募する企画に参加してみようという授業があった。僕は何という名前を書いたかはさっぱり覚えていないがとにかく楽しかった。
つまり落選したわけだが、代わりに毛利衛さんのステッカーが送られてきた。しかもそれが2セットも入っていて、それが入れ間違いだったのか、僕が二点応募していたのか、どちらにしても当時はまた一歩宇宙に近づいたようなそんな気がしていた。
その毛利さんが初めての日本人として搭乗したスペースシャトル、そして、きぼうの第一段階部品が搭載されたのもこのエンデバーだった。日本にとっても馴染みのある機体なのだ。

またこれはその翌年だったか、初の純国産ロケットH-IIAの愛称とシンボルマークを公募する企画にも参加した。
残念ながらこの企画は度重なる打ち上げ失敗で「今はまだ募集してもらった愛称とシンボルマークを載せた機体で飛ばす時期ではない。」と打ち切りになってしまったのだが、お詫びとしてNASDAからのメッセージとH-IIAロケットの付いた携帯ストラップが入った封筒が送られてきた。さっそく携帯電話に付け、それがどこかへ飛んで行ってしまうまでしばらく使っていた。


それから月日は流れ、いつしか夜空を見上げる事はなくなってしまったが、それでもSF映画は大好きだったり、宇宙に関するニュースには飛びついたりと、なんだかんだでいつまでたってもわくわくさを忘れられない少年のままだなと思う。

たまには夜空でも見上げたいものだ。東京の空は微かにオリオン座が確認出来る程度に、今日も明るい。


 旅のお供


スペース カウボーイ [Blu-ray]

クリント・イーストウッド (監督)


かつて宇宙へ行く夢をサルに奪われたおじいちゃん達が「空飛ぶレンガ」に乗って旧ソ連の衛星を直しに行くという色々全部突っ込んである冒険映画。まぁ厳密に言うと、そんな適当な進入角で…とかそんな簡単な脅しで…とかツッコミどころ満載なわけではあるが、細かい事は置いといてとにかく面白い。
夢と希望に溢れる理想的な宇宙像。しかしFly me to the moonを流すのはズルいと思う、そりゃあグッと来るよ。


1/200 スペースシャトル オービター w/ブースター

ハセガワ

俺達の模型メーカー、ハセガワ製のスペースシャトル。ブースターも付いたフルセットで発射前の状態を再現することが出来る。
その昔、映画よりも熱心にプラモデルと向き合っていた頃、地元の老舗模型店の棚の上の方に埃を被って置いてあったこの模型が欲しかった記憶がある。結局いつも別のハセガワ製戦闘機を買って帰ってしまっていたわけではあるが。


Fisher スペースペン ブレット EF400

FISHER

NASAに採用されていて宇宙の無重力でも、上向きでも水中でも-34℃から+121℃の温度変化の中でも書ける凄いボールペン。
「一方ロシアは鉛筆を使った。」というジョークが有名だが、実はNASA採用の数年後に同じくこのフィッシャーを採用、もう鉛筆ではなかったわけだ。
またこのEF400は美しいデザインからニューヨーク近代美術館に展示されている。ちなみにアポロ11号月面着陸のミッションで実際に使用されていたモデルはこちらのAG-7だ。


増補 スペースシャトルの落日 (ちくま文庫)

松浦 晋也 (著)

本文でも少し触れたが、スペースシャトル計画がいかに失敗だったかに切り込んだ本。とにかく計画の根底から誤りがあり、幾つもの思惑が交差し、結果としてあの二回もの事故を起こしてしまった。これまで感じていた、アポロ時代のソユーズが現役なのに何故シャトルは退役してしまったのか、という漠然とした引っ掛かりがそういう事だったのかと分かるはずだ。そもそも翼は飾りでしかなかったなどセンセーショナルな内容も。まさに空飛ぶレンガだったわけか。
実際に死者が出ている以上「夢を与えてくれた」だけでは済ませられない、と言うことで最後に現実的なものを紹介した。


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プロフィール
HN:
Otsuki Naoki
HP:
性別:
男性
職業:
コンポジター
趣味:
アクション映画とロック
自己紹介:

去年のアメリカ旅行記を更新中。ロサンゼルスからエリア51のあるネバダ州、サンフランシスコまでドライブ、からのニューヨーク。週一更新目標。

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