No.323
2013/10/01 (Tue) 04:12:03
BTTF デロリアン 以前SNSで流れてきた一枚の写真があった。それはBTTFこと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンを数年かけて自作してしまった、という写真だった。 この写真の出処がデロリアン・モーター・カンパニー・カリフォルニア、場所はガーデン・グローブ、アナハイムの近くだ。 レンタカーを借りたら行ける範囲内だと、出国前にその人物に見学したい旨をメールしていた。返事はOK、平日なら仕事をしているからいつでも見に来てくれ!といったフランクなメールが返ってきた。 今日はデロリアンを見学にそのDMCカリフォルニアへ向かう。 サンタ・アナ・フリーウェイからガーデン・グローブ・フリーウェイへ、ウエストミンスター・アヴェニューからウエスト・ストリートへ入った途中だ。ダウンタウンからは30分ほど走ったところの自動車整備工場が続く路地の奥にある。もちろん路地と言っても道路幅は広い。 あった。ここがDMC、デロリアン・モーター・カンパニー・カリフォルニアだ。さっそく入り口前にずらりと並んだDMC-12が出迎えてくれる。これは技術スタッフのもののようだ、ナンバープレートにDMC TECHと印されている。 受付の女性に日本からメッセージを送った者だと説明すると快く奥へ通してくれた。自作デロリアンのオーナーであるダニーは電話対応で忙しそうであったが、その合間を縫って出てきてくれた。 さっそく「君はデロリアンオーナーかい?」と問われたが、日本では残念ながら手に入りにくい。カリフォルニアで暮らす時は買うよと伝えておいたが早速ヘビーな質問だ。 これが自作のバック・トゥ・ザ・フューチャー・デロリアンだ。 自作とは思えないほど完璧なまでに再現されている。おそらくこれはパート1のラストからパート2に登場するデロリアンだろう。思わず"Great Scott!!"と叫んだが笑われてしまった。 外部の電源スイッチを入れ、おもむろに運転席横のレバーを回すとあのタイムサーキットと次元転移装置が光り始めた。感動だ。あとは88マイル出すだけだが、もちろんこのバージョンは"We don't need roads"だ。 左:タイムサーキットだ。上から目標の時間、現在の時間、出発の時間となる。
右:次元転移装置、"Flax Capacitar"だ。 車内の再現も見事だ。
ここでダニーは仕事の電話のため事務所に戻り、適当に見ていてくれという言葉に甘え僕は暫く工場内を眺めて周ることにした。 一人ハイテンションでデロリアンの写真を撮っていると奥から体格のいいおじさんが顔を覗かせ、日本語の挨拶を交えながら話しかけてくれた。彼もまたここで働いているようだ。どこで日本語の挨拶を覚えたのか聞いたが、どうやら友人が日本で暮らしているらしい。 このおじさんも、とても気さくな方で整備中のDMC-12を見せてくれた。これだけの工具を使って整備して行くのだと言う。おじさんの若い頃の写真だろうか、奥さんらしき女性と写った写真が飾られていた。(右) ここで僕の持っていたカメラを見て、デロリアンと一緒に写真を撮ってくれると言う。カメラを渡すとあの特徴的なガルウイングを両方とも開き、車両の前に立つよう促された。車体を挟んで向かい合った形になるわけだ。 両手を上げると面白い画になるんだ!と言うことで撮ってもらった写真がこれだが、さっぱりよくわからない物に仕上がっていた。(下) せっかく写真を撮ってもらえるならこれをやらねば話にならない、とおじさんの掛けていたメガネを借りてパート1の格好をしてみたのだが詰めが甘かった感は否めない。三脚を持って来ていたらおじさんと共にパート2が出来たのにと少し後悔したがそれはデータを取り込んだ後に思いついた。 こんな感じでこのおじさんと暫く遊んでいたのだが、後に調べて実はこの人、「アメリカで現在も働いている唯一のデロリアン公認整備士」のドン・シュテーガーであることが分かりぶったまげた。 おっちゃんメガネ貸してや!などと絡んでいたおじさんが実は、30年以上前に工場が閉鎖される以前からデロリアンのメカニックとして働いていた人だったのだ。 YouTubeにこんな番組があったので紹介しておこう。 タイヤに座って話をしているおじさんがドンだ。 from /DRIVE
ここで少しデロリアンの歴史について触れておこう。 デロリアンと言うと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシンの個体名だと思われている場合も多いかと思うが、正確には原型となった車の名前だ。デロリアンと言うのはDeLorean Motor Company(DMC)と言うもう倒産してしまった自動車製造メーカーの名称なのだが、そこで作られた唯一の車両がDMC-12であり、その事からこの車をデロリアンと呼ぶ場合が多い。 1975年、当時GMの副社長であったジョン・ザッカリー・デロリアンが自分のイメージする理想の車を作るために独立し、自身の名を掲げたDMCをスタートさせたのが始まりだ。あのGMの副社長にまで登り詰めておきながら自ら辞職すると言う野心家ぶりに当時は「GMをクビにした男」と言われていたらしい。 1981年、ついにDMC-12を発売する。無塗装のステンレス・ボディーにガルウィングという特徴的なフォルムがウケたのか初年度は約6500台が販売されたと書かれている。しかし翌年1982年、品質の低さが原因のトラブルが多発し売上が低下、工場誘致として支援を受けていたイギリス政府からの援助の打ち切り、そしてジョン・ザッカリー・デロリアン本人の麻薬での逮捕などが重なり、DMC-12の発売から2年に満たないうちに会社は倒産、工場も閉鎖された。総出荷台数は約8500台と言われている。 その後ジョン・ザッカリー・デロリアンの麻薬逮捕は無罪となり、彼はまた新たな理想の車を作るべく構想を練っていたらしいが、1995年、脳卒中により亡くなっている。 このまま忘れ去られるかのように思われたデロリアンだが「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシンとしてDMC-12が使われた事で世界的に再注目され、90年代にデロリアン・モーター・センターとして再出発、現在もオーナー達にパーツの供給を続けている。今日訪れたDMCカリフォルニアもそんな新生DMCの一つだ。 また余談だがDMCには当初DMC-24という4ドアタイプの物や、DMC-80というバスタイプの物まで開発されていたようだ。どれも開発段階で終了してしまったわけだがDMC-24は是非見てみたかった。ここにもう少し詳しく書かれていたので紹介しよう。 "The Proposed DeLorean Sedan Is As Coke-Tastically '80s As You'd Imagine" また近年ニュースにもなっていたが新生DMCがDMC-12のEV車を試作しているのだと言う。元々エンジン周りはあまり高性能ではなかっただけにどのように変わってくるのかが気になるところだ。 そうこうしているとダニーが戻ってきたのでデロリアンのBTTFタイムマシン改造制作の事をもう少し聞いてみる。 彼はこれまでにも数台のBTTF改造を既にしており、今はもう一台に取り掛かっているところらしい。 エンジンは確かGMの物に入れ替えてあり実際に運転することが出来る。デロリアンオリジナルのエンジンは別で整備中なのだと言う、右の写真はオリジナルのエンジンだ。 これだけの制作が出来るなんて何か映画に関わっていたのかと聞いたところ、「ファンだからさ!」と返ってきた。これだけDMC-12という一台の車とそれを取り上げた素晴らしい映画に拘り続けられるのは素敵な事だと思う。尊敬だ。 もう少し写真を見てみよう。 左:ミスター・フュージョン。Krups 223-Aというコーヒーミルがパーツだとか。ちなみにエイリアン1にもさり気なく登場している模様。
右:2015年のライセンス・プレート。中央上部に見えるのは恐らくバック用のカメラだろう、運転席にモニタが設置してあった。 左:助手席前に設置されていたパーツ、これはあまり記憶に無い。
右:少し文字盤のデザインが違う気がするが…。 左:入り口にある事務所ではグッズやパーツを購入することが出来る。
右:事務所に入るとすぐに奥のタイムマシン・デロリアンが見える。 じっくり写真を撮って工場内を周っていたので意外と時間が経っていた。皆仕事中ということもあり、そろそろここを出ることにする。 またカリフォルニアに来た時は必ず寄るよ、とお礼を伝え工場を後にした。途中事務所でデロリアン・グッズを売っていたのでDMC-12のキーホルダーを記念に購入、おまけでペンとカレンダーを付けてくれた。 ちなみにここではパーツの購入ももちろん出来る。本物のバンパーを持ち帰るのも面白いと一瞬迷ったが、まぁ使い道も無いので止めておこう。 DeLorean Motor Company California
13881 West St, Garden Grove, CA 92708 http://www.deloreanmotorcenter.com/ ※先日ダニーから店舗移転と新店舗オープンパーティーのお誘いメールが入っていた。 どうも下記住所に移転したらしく丁度9/27からオープンだったようだ。 もしこれから見に行かれる方は是非新しい店舗に足を運んでみてほしい。 (僕もパーティーに行きたかった。) NEW DeLorean Motor Company California 7402 Prince Drive Huntington Beach, California 92647 実はもう一件寄りたい場所があり、北へ車を走らせる。 このDMCカリフォルニアに来たあとには必ず行かなければならない場所、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でドクが最初にデロリアンを紹介するツイン・パイン・モールのロケ地が近いのだ。 DMCカリフォルニアからオレンジ・フリーウェイを北上したところにあるプエンテ・ヒルズ・モールと言う場所だ。だいたい30分ほどの距離だ。 到着した頃にはすっかりあたりも暗くなりあのシーンの雰囲気も出てきたような気がする。 しかし誤算だった。実際到着するまではよかったのだが、予想していたよりもとてつもなく大きな施設でどの面が使われた場所なのか分からなくなってしまったのだ。Wi-Fiはつかめず、頼りになるのはキャプチャしてきた本編の画像だけ。おまけに夜の買い出し時であたりは車で埋まっていた。 X状になっているので可能性があるのが四面あるのだが、それぞれの間に段差がある場所もあり、車で移動するには一度駐車場から出る必要がある。そのため車での散策を諦め徒歩で照らし合わせながら歩いて行くことにした。 ぐるりと回った反対側あたりでどうも似ている地形の場所を発見するが撮影からもう20年以上も経っているので合っているのかわからなくなってしまった。 とりあえずそこでマーティンのごとく走り込んで二、三枚撮影してみたのがこれだ(下)。取り込んでからもう一度本編を見ながら確認してみたが、たぶんこの場所だ。しかし残念なことに撮影時よくわからなくなって適当に撮ったので全て前ピンになり過ぎていた。 夜のショッピング・モール撮影は、ヘビーだ。 こぼれ話 「ワン!ポイントッ!トゥエニーワン!ジゴッ!!ワッッ!!!」 ジゴを? ギガの訛りかもだぜ。 こいつぁコトだ! 旅のお供
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去年のアメリカ旅行記を更新中。ロサンゼルスからエリア51のあるネバダ州、サンフランシスコまでドライブ、からのニューヨーク。週一更新目標。
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