サンタモニカ・ピア
国内旅行でもそうだが、旅先では宿泊地の周辺を歩いて回るのが好きだ。
車があるとすぐに遠くへ行ってしまうが、歩きは帰りのことも考えるからか宿を中心に円を描くようにじっくりと散策することが多いので、車では見落としてしまうような小さな発見がたくさんあって面白い。出来るだけイヤホンは付けない、耳からの情報にもまた多くの発見があるからだ。
ロサンゼルス到着の翌日、空は青く澄み渡り痛いくらいの日差しが照りつける快晴だった。とても心地が良く、まさにイメージしていたカリフォルニアそのものだ。気温は長袖でちょうどよいくらいだが、日陰に入ると少し肌寒い。
まず現地に着いたらプリペイド式の携帯電話を買おうと思っていたので、昨夜のサード・ストリート・プロムナードを歩く。夜とはまた違った印象でリゾート地の風格を醸し出している。
何件かエレクトリック・ストアをまわり最終的に紹介されたT-Mobileというチェーン店へと向かった。ウィルシャー・ブールヴァード上にある店だ。
プリペイド携帯はあったものの、確かプリペイド番号と本体のセットで最安値が80ドル。予想していたよりも値が張ってしまったため断念した。
だが案内をしてくれていた店員のスレンダーで褐色美女のお姉さんは諦めきれなかったのか、iPhoneを持っているならSIMだけ入れ替えれば行けるとAT&TのSIMカードを入れてくれた。
もちろん僕はSIMロックされているiPhoneだと分かっていたのだが、これもコミュニケーションだと接続エラーが出るまでたわいない会話を楽しんだ。つまりスレンダーにサレンダーだったわけだ。
結局プリペイド携帯は諦め、フリーWi-Fiを探しながらまた散策を続ける。
ウィルシャー・ブールヴァードをしばらく歩くとオーシャン・アヴェニューへと突き当たる。一面に広がる太平洋が年間325日晴天と言う陽の光を受けてギラギラと輝いている。その手前を走るのがパシフィック・コースト・ハイウェイ、サンフランシスコへと続く州道1号線だ。
ここで思い出したのがやはりエリック・クラプトンの461オーシャン・ブールヴァードだ。大きなヤシの木が生えた白い家のジャケットが特徴的で、あのボブ・マーリーをカバーしたアイ・ショット・ザ・シェリフの入った名盤だ。
このアルバムのタイトルは収録スタジオの住所だと言われているがそれはマイアミでの話、ここはオーシャン・アヴェニューである。仕方が無いので461オーシャン・アヴェニューを探しながら歩く。
海からの潮風を右手に感じつつ、しばらく歩くと海上にひときわ目立つテーマパークが見えてきた。サンタモニカ・ピアだ。
あの有名なゲートをくぐり州道1号線をまたぐ橋を下っていくと観覧車やジェットコースターがあるパシフィック・パークの入り口が見えてくる。タコの形をしたオブジェのある場所だ。面白い形をしている。その横では空中ブランコの体験が出来るようだ。
また、ここサンタモニカ・ピアはルート66の順方向終着点としても有名だ。
パシフィック・パークには入らずそのまま桟橋の端へと歩いて行く。桟橋の上では多くの大道芸人達が多種多様なパフォーマンスをしている。一人一人写真に収めて行きたい所だがそこは注意、下手に写真を撮るとチップを要求されてしまいそうだ。
平日にも関わらず多くの人で賑わっているが、この開放感とカラッと乾いた澄んだ空気のおかげか、とてもゆっくりとした時間が流れていた。
僕は自販機でミドリ色の炭酸飲料を買いベンチで暫く海を眺めていた。あまり美味しいものでは無いはずだがロケーションのお陰か美味しく感じてしまう。
こちらのパトカーはいちいち格好良い。
このサンタモニカ・ピアには翌日も来た。夕陽の撮影をしたかったからだ。
ゆっくりと水平線へと沈んで行く夕陽は本当に美しく、定番だがフライデイ・ナイト・ファンタジーが頭にずっと流れていたのは言うまでもない。
水平線に日が沈むとロサンゼルスの街は電気を消したように一瞬で暗くなる。それだけこの街は太陽と密接な関係にあるのだろう。
さあ、どこかで夕食を食べてホステルに戻ろう。
Tips
今回、日本からモバイルルーターを借りて行こうか検討したのだが、一日800円程でオプションを合わせると一ヶ月で3万円ほどになり予想より高かったため使用しなかった。
しかし上記のプリペイド携帯や、後の話で出てくると思うが外出先での連絡のやり取りやレンタカーのナビの問題など、結果としてモバイルルーターを借りていた方が安くて安心だった気がする。
宿のフリーWi-Fiも弱い場合が多く、混雑時のカフェや部屋では使用できない場面が多かった。またロサンゼルスは街中にはCity Wi-Fiが飛んでいる地域があるが、これもまた電波が弱くなかなかログイン出来ない。
アナログの地図で旅をしたいから必要ないと言う人も、外出先での連絡含めネットに繋ぐ可能性がある場合は検討してみても良いかもしれない。
旅のお供
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461オーシャン・ブールヴァード エリック・クラプトン
クラプトンの70年代を代表するソロ2作目のアルバム。また僕が2番目に手に取った彼の作品でもある。 軽快なリズムのマザーレス・チルドレンから始まり、今でもよく語られるアイ・ショット・ザ・シェリフやレット・イット・グロウなどの名曲が散りばめられている。全体的にだらっとしたゆるい印象を受けるが逆にそれが心地よい。 だが僕が最初に手に取ったのがアメリカンロックやポップ路線寄りの選曲の目だったクラプトン・クロニクルズだっただけにこのアルバムでのレゲエ感や垣間見えるサザンロックが衝撃的で当時は一度聞いたまま暫く放置していた。つまり期待していた音と違ったわけだ。だがそこからクラプトンの歴史を掘り下げていくにつれて、この作品の重要性やこの心地よさが分かってきた気がする。
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フライデーナイト・ファンタジー ピエール・ポルト
フランスの作曲家ピエール・ポルトのベスト。イージーリスニングと言われるが未だにこのジャンルはよくわからない。だが金曜ロードショーで有名なフライデーナイト・ファンタジーは何度聞いても揺さぶられる。 ちなみに友人曰く、この曲は金曜ロードショーのためだけに書き下ろされた曲なのだと言う。あの名番組が無ければこの名曲もまた無かったと言うのだ、実に感慨深い。 またオープニング映像で流れる桟橋は、僕はてっきり海外のロケーションだと思い込んでいたのだが、どうやら横浜あたりにあるらしいし、トランペットは日本人奏者なのだそうだ。改めて調べてみると多くの発見があった。 タイトル曲以外にもどこかで聴いたことのある美しい曲が多く入っているオススメの一枚。
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