No.314
2013/06/05 (Wed) 03:56:16
ビデオ・スタジオ ロサンゼルスには何人か友人がいる。 その中の一人にユニバーシティ・オブ・カリフォルニア・アーバイン、UCIのフィルムコースの関係者がいるのだが、その彼に授業を見学にこないかと誘ってもらっていたのだ。 僕もまた映画好きを拗らせて東京でポスプロの仕事をしているのだが、幼少期から好んで見てきたのはTSUTAYAのアクション棚に並ぶハリウッド大作ばかりだった。つまりここロサンゼルスでの映画製作の断片を垣間見るのは長年の夢であり目標であり、今回の旅の目的でもあった。 大学のあるアーバインはサンタモニカからは少し遠い。友人がシェアカーを出してくれたので助かったがそれでも朝5時には起きて支度をした。 待ち合わせ場所へはバスで向かう。赤いイモムシのようなフォルムのダウンタウン行、メトロ・ラピッド 720系統だ。大型バスを電車のように二台繋げた姿は実に合理的だ。しかしこれがまたなかなか来ない。厳密には本数が少ないからなのだが、早めに準備をしていたのはこのことを聞いていたからである。 バスの車内から。大型トレーラーの方向転換待ち。肝心の外観をうっかり撮り損ねてしまったが、こんな感じだ(Google画像検索)。 彼と会うのは久しぶりだ。 しかしFacebookでよく見かけていたので何の違和感もなく再会することができた。別の国に居ながら近況を確認しあえるのだからいい時代になったものだ。 友人の運転する車はすぐにフリーウェイへと登った。日本の高速道路に近いが料金は基本かからないし特別変わった入り口があるわけでもない。少し遠くに用事がある時にはとても便利だ。 ただ少し危なっかしい。道路は片側5〜8車線ほどあり、路面はでこぼこ、中央分離帯付近にはゴミが散乱し、全体的な平均速度が時速130kmほどなのだからエキサイティングなどと言っている場合ではない。 そこまでしても車が必要な様子やバスの本数などを見て思ったが本当にロサンゼルスという街は自動車が必須なのだろう。それを友人に話したところ、どうもそこは長年問題になっているところらしい。 その昔、公共交通機関の強化の案が出たらしいのだが、自動車が売れないと困る某大手メーカーの圧力により潰されてしまったのだと言う。本当に馬鹿げた話だ、と彼は言う。現地の人もやはり問題視しているようだ。だが、最近は少しずつだが地下鉄が延びて行っているのだという、確かサンタモニカの周辺でも工事が行われていたはずだ。 これは別の日のフリーウェイの様子だが、当日は朝のラッシュのため車がひしめきあっていた。こんな生易しいものでは無い。 少し話がずれるがシェアカーはIDカード式だった。フロントガラスに設置されている非接触リーダーにカードをかざすとロックが解除されるのだ。僕は日本でもシェアカーを使ったことはまだないので同じシステムかもしれないがこれはなかなか面白かった。そして意外と認識が悪いのだ。 そんな状況もしらばく乗っていると慣れてくる。 どうやら彼は日本語を勉強中のようで、ドナ・サマーの発音がダンナサマーと同じだと言って二人で大笑いしていた。リスニング教材で覚えたらしい、聞かせてもらったがとてもじゃないが役に立つとは思えない可笑しな言い回しの教材だった。おそらく日本の英語教材もこちらの人が聞いたらこんな感じなのだろう。 だが基本は僕が英語を教えてもらう立場だった。 アルコール依存症をアルコホリズムと言うが、それの応用で常習的なクソ野郎のことをアスホリズムと言うらしい。多くのシチュエーションで使える素晴らしい言葉だ。 他にもこれは以前来日時に教わったことだがFワードなんかの汚い言葉を連発する事をトラッカーズマウス、と言うようだ。トラック野郎の口癖、といったところか。こうしてまた無駄知識だけが増えていく。 コロナ・デル・マー・フリーウェイからユニバーシティ・ドライブに入るとUCIへはもうすぐだ。 少し時間があったので先にランチを食べた。有機野菜をふんだんに使ったヘルシーなバーガーだ。ここのポテトフライがお勧めなのだと言う、確かにこれは美味い、ソースが最高だ。 アメリカでは意外と基本なのだがドリンクはリフィル可能、つまり飲み放題なわけだ。サーバーから自分で注ぐのだが、そこに自家製のレモネードなんかも用意してあり、ついつい飲みすぎてしまった。 参加予定の授業はCanon EOS C300をはじめとするEOS CINEMA最新機等を実際に操作出来るハンズオン形式なのだが、それまでには少し時間があるため校内を一人で散策してみることにした。 日本の大学とは比べ物にならない広さの敷地に、おそらくあれは校内用のレンタサイクルだと思われるものなんかも設置してある。一つの街のようだ。 また学生の作品を展示するスペースもいくつかあり、映像作品の上映も行われていた。さすがインターナショナルなだけあり作品の概念やアプローチも多種多様だ。しかし、なんだがアジア人っぽい感性だな、と思った作品は本当にそうだったりするから面白い。 オフィスの様子。さすがはDIYの国アメリカ、編集スタジオの内装などかなりの部分が自作されていた。 ちなみに中央の素敵なロゴも実は画用紙で手作りされている。驚きだ。 友人と合流し、クッキーを食べながらポストプロダクションの設備に関しての話を聞く。UCLAほどではないが一通り機材は揃っているようだ。しかし意外と内装は手作りが多く、編集室などDIYの真っ只中で今度壁の色を塗り替えるのだと言っていた。まだまだ伸び白がありそうだ。 おもむろにメジャーを取り出した友人曰く、アメリカのインチやフィートといった単位は本当に分かり辛く、センチやメートルなどの10や100といった切りの良い数字で変化する方が優れているのだという。アメリカの文化に切り込んで行く時の彼の眼差しは鋭い。 そうこうしていると授業の時間が近付いてきた。 少し専門的な話になるが、まずはCanonの人によるC300のイントロダクションから始まり各性能やどのようにワークフローへ取り入れて行くかの説明がなされ、いよいよハンズオンだ。 スーパー35mm相当CMOSを搭載したC300はもちろん魅力的だったが個人的に気になっていたのは4Kでの記録が可能な1DCとフルサイズ機の6Dだった。 技術の進歩は目まぐるしいもので、これを書いている時点で既に真新しさは無くなってしまっているので具体的な話は割愛するが、1DCは期待以上に魅力的なカメラだったが、6Dはやはり5Dの廉価版といった印象、Kiss Proというイメージだった。 手前からEOS-1DX、5D MarkIII、6D、1DC、そしてC300。 約3時間の授業が終わった頃にはすっかり日が沈んでいた。 この日はビデオアートの教授も交えてディナーを食べる予定になっていた。ロサンゼルスへ戻り友人の行きつけの珈琲ショップで待つ。サイフォンで淹れる本格派珈琲ショップで店内には挽きたての珈琲豆のいい匂いが漂っている。 Balconi Coffee Company 11301 West Olympic Boulevard, Los Angeles, CA 90064 http://www.balconicoffee.com 左:帰りの時間帯もラッシュ真っ只中だった。すごい交通量だ。 右:途中見かけたスターバックス。水族館のイメージか、凝ったデザインだ。 その後教授と合流し飛び切り美味いというピッツァ専門店へ。僕はキノコのチーズピッツァを頼んだが確かに飛び切り美味かった。 日本でのことなど変わりはないかなど話をしながらディナーを楽しみ教授を送るためにLAXへと向かった。そのままアジアへ飛ぶらしい。 世界を相手にアートで仕事をしている教授と友人に憧れを抱きつつ、上空に絶え間無く連なる飛行機の着陸灯を横目にサンタモニカへと戻って行く。 Tips 今回はカメラ繋がりと言うことで持参した機材に関して話そうと思う。 実を言うと車を借りてロードトリップをする計画を立てたあたりからどうせならロードムービーを撮ろうと思っていたので割と多めの機材になってしまった。これもまだ全く編集していないが。 基本は動画とスチルが兼用できる一眼デジタル、EOS 7Dをメインに、音声はZOOM H4n、スチル用のサブ機にSIGMA DP2xを使用。また次回登場するが現地調達したGoPro HERO3 Black Editionを車載カメラとして使用していた。だがなんだかんだでスナップとしての写真と動画で一番威力を発揮したのはiPhone4Sだったわけだが。 撮影に関してはここロサンゼルスが一番気を使った。ネバダの内陸なんて誰もいないので三脚を立ててカメラを回したまま車で1マイルほど戻って撮影なんて無茶も出来たし(何処に置いたか見失ってしまう勢い)、サンフランシスコやニューヨークなんかは観光客も多いためカメラをぶら下げたままでも問題なかった。しかしロサンゼルスの場合、場所にもよるがどうも視線が気になりiPhoneでさえ強奪されそうな気配があったのは確かだ。まぁ僕が警戒し過ぎだったというのもあるが、気をつけるに越したことは無いと思う。 そういえばハリウッド周辺で、一眼を首からぶら下げてフリフリのスカートを履いた日本人らしきカメラ女子が一人で歩いていたのだが、大丈夫だったのだろうか。 旅のお供
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Otsuki Naoki
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コンポジター
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去年のアメリカ旅行記を更新中。ロサンゼルスからエリア51のあるネバダ州、サンフランシスコまでドライブ、からのニューヨーク。週一更新目標。
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